異世界に飛ばされちゃったわたしは、どうもお姫様の身代わりに                        花嫁にされちゃったらしい。 プロローグ  夏休みとはいえ、平日の田舎のショッピングセンター。普段からあまり使う人がいないその連絡通路に は、やっぱり人影はなくて。だから不意に目に入ってきた、これまでは無かった床の模様が少し不思議に 思えた。  近寄ってみるとそれは、人一人が乗ったら調度良いくらいの、まるでレースで編んだドイリーのような 模様。  なんでこんな所にたったひとつ新しく模様つけたんだろう?  疑問に思いながらも好奇心が疼く。  この上に立ったら、お姫様かお人形か、それともアイドルみたいに見えるかな。  誰が見ているわけでもない。そもそも通路の床のど真ん中に描かれているその模様を踏んじゃいけない なんて言う訳もない。  変にウキウキしながら、わたしはその模様の真ん中に立ってみた。するとその模様が、ポゥッと淡い 光を放ち始めた。  なにこれ。インタラクティブ・アート? 人が乗ったら光る仕掛け?  そんな事考えてたら、突然ふわりと身体が宙に浮くような感覚に陥った。 「ひゃっ」  持っていた鞄を落とさないようギュッと握りしめ、身体を丸める。目の前の景色が歪み、ぼやける。  何が起こっているのか分からないまま、再び浮遊感。まるでエレベーターの動き始めと止まる時の ような感じ。  そして目の前の景色は、連絡通路から全く知らない場所へと変わっていった。

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